【美しい日本語】時期・降り方による「雨」の名前
ぱたぱたと落ちるような雨や、ざぁざぁと打ち付けるような雨。
こうした雨の種類や、その呼び方を、どのくらいご存知でしょうか。
今回は様々な雨の名前をご紹介していきたいと思います。
●時期による雨
・木の芽雨(このめあめ)
春、木の芽が出る頃に降る雨。
・催花雨(さいかう)
春に向けて、花に「咲け」と催促するように降る雨。
・春雨(はるさめ)
春にしとしとと降る静かな雨。
・五月雨(さみだれ)
五月に長く降る雨。
・翠雨(すいう) = 「緑雨」(りょくう)
初夏、青葉に降り注ぐ雨。
・催涙雨(さいるいう)
七夕に降る雨。織り姫と彦星が再会することが叶わなかった涙。
・秋雨(あきさめ/しゅうう)
夏から秋にかけて、長く降り続ける雨。
・時雨(しぐれ)
秋から冬にかけて、降ったり止んだりを繰り返す雨。
・氷雨(ひょうう)
冬に降る冷たい雨。雹(ひょう)や霰(あられ)も含む。
●降り方による雨
・霧雨(きりさめ)
霧のように軽く細かい雨。
・糠雨(ぬかあめ)
音もなく、静かに降る細かい雨。
・通り雨(とおりあめ)
通り過ぎるように、サッと降ってサッと止む雨。
・長雨(ながあめ) = 「淫雨」(いんう)「霖雨」(りんう)
何日にも渡って降り続け、なかなかやまない雨。
・にわか雨(にわかあめ)
広範囲に長く降り続ける、一定の強さの雨。
(夏の午後に降るものを夕立と呼ぶ)
・豪雨(ごうう)
一時的、かつ激しく降る雨。
・篠突く雨(しのつくあめ)
篠竹を突くように、地面を激しく叩きながら降る雨。
●意味を持つ雨
・甘雨(かんう)
良い雨。潤いをもたらす雨のこと。
・慈雨(じう)
恵みの雨。干ばつの時期に降るありがたい雨。
●特殊な名前
・狐の嫁入り(きつねのよめいり) = 「天気雨」(てんきあめ)
晴れの日に降る雨。
・遣らずの雨(やらずのあめ)
客人が帰る頃になって、引き留めるように降り出す雨。
●『雨のような』現象
・樹雨(きさめ)
濃霧によって樹木に水滴が付着し、絶えず雨のように大粒の水滴が降る現象。
・天泣(てんきゅう)
雲がないのに降る雨。遠方の雨が風で運ばれたもの。
雨には、その強さや時期、意味合いなどから様々な名前がつけられています。
名前だけは聞いたことがある、という雨もあれば、思いの外、その意味を勘違いして覚えている雨もあったのではないでしょうか。
日常で様々な雨を体感と共に、その雨を示す言葉が思い浮かぶと素敵ですね。